Ready Skater Three「スタンド・バイ・ミーLAから来たスケーター”エディ”との夏」【オレたちの90s〜高校生編〜】

Ready Skater Three「スタンド・バイ・ミーLAから来たスケーター”エディ”との夏」【オレたちの90s〜高校生編〜】

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僕のスケボー遍歴を「Ready Skater」というエッセイにして、ノンフィクション8割、フィクション2割で小学生時代から振り返って書いてみたのでよろしければ読んでください。

30代〜40代の人には懐かしく感じる部分もあるかもしれません。

今回は「オレたちの90s〜高校生編〜」です。

それではどうぞお付き合いください。

 

前回までのお話し

 

 

高校生になった僕

僕はあまり勉強が得意ではなかったので、市内でも下から数えた方が早い高校に入学することになる。

特にやりたいことも得意なこともなかった僕だが、唯一手先は器用だったので、必修科目は美術を希望していた。

同じ中学のヒロシも必修科目を美術にしていて、第二希望は無記入だったので、僕もそれに習い無記入にしていた。

その用紙を受付に提出する時に、僕の前にいたヒロシはそのまま受け取ってもらえたが、何故か僕だけ止められ、第二希望を書けと促される。

何故?と思いヒロシが記入してないから僕もいいじゃないかと抗議したが、取り合ってもらえず、仕方なく得意ではないが、まぁまぁ好きな音楽を第二希望にした。

 

そして、いざ入学してみると・・・

見事、僕の必修科目は音楽になっていた(涙)

またしても自分の好きなことは簡単には出来ないのだと3度目の挫折を味わうのであった・・・

 

 

夏休みにゴルフ場でアルバイトを始める

そんな感じで、見事出鼻をくじかれたが、気を取り直し高校生活がスタートした。

正直ウキウキ、ワクワクなんてものはなく、実は高校には行かずに働きたいと親に懇願していたくらいで、高校生になったらこうなりたい!とかの目標なんてなかったけど、それでも何となくクラスには馴染んでいった。

 

面白くもなく、つまんなくもない高校生活も何ヶ月か経ち、ようやく夏休みがやってくる。

僕は夏休みになったらアルバイトをしようと思っていたので、友達のヒロシとブーを誘いゴルフ場のコース整備の仕事を始めた。

 

自転車に乗ってそのゴルフ場まで行くのだが、これが結構距離があってキツい!

事務所に着くと僕らは、既に汗だくになっていた。

 

仕事内容はその名の通り、ゴルフ場のコース整備で芝を刈ったり、バンカーの整備をする仕事だ。

その中で僕らが担当するのは、刈った芝を熊手で集め軽トラの荷台に乗せて行く作業だった。

この仕事は、いくら若いと言っても結構ハードな仕事だったが、僕らは日当の7,000円の為に頑張った。

 

 

LAからきたスケーター「エディとの出会い」

そんなわけで、この年の夏休みは、ほぼこのゴルフ場でコース整備の仕事をしていた。

社員のおじさん達とも仲良くなって、仕事にも慣れた僕らはこの職場が好きになっていた。

 

そして一番たまらない瞬間が重労働の後に飲む、キンキンに冷えたコーラだった。

「んん〜この一杯の為に生きてんな!」なんて冗談を言って周りを笑わせていた。

 

そんなある日、部長が僕らに「明日から新しいバイトが増えるぞ。」と言って来た。

何でもロサンゼルスから来たエディという僕らと同じ年の16歳だそうだ。

ロサンゼルスが何処にあるかも知らない僕らは「へぇ〜外人じゃん!パツキン?」なんて言っておちゃらけていた。

 

そして次の日、部長から紹介されたエディは見た目はもろ黒髪の日本人だった!

しかし、話しかけてみると日本語が通じない・・・

部長曰く、エディは夏休みを利用して叔父さんの家に遊びに来ている日系アメリカ人だった。

 

僕らは何となく距離を置きながらエディの様子を見ていた。

そして僕は気づいた。

エディがAKIRAのTシャツにパウエルのハーフパンツを履いていることを!

当時、アメリカのスケートシーンでAKIRAのTシャツが流行っていることを知っていた僕は、思い切ってエディに話し掛けてみた。

 

「アキ〜ラ?」

 

「oh! yes!」

 

「パウエル・ペラルタ〜?」

 

「oh! yes!」

 

「スケートボーダー?」

 

「yes! yes!」

 

「マーク・ゴンザレス?」

 

「yes! yes! GONZ!!」

 

僕とエディの距離が一気に縮まった瞬間だった。

次の日からエディはスケボーを持ってアルバイトに来るようになった。

 

 

暑い夏のエディとのスケボーの日々

ほどなくして僕は貯めたバイト代の一部でスケボーを買った。

 

そして僕とエディはバイト先の事務所横でスケボーをするようになった。

昼休みや仕事が終わったあと、空き缶をオーリーで飛び越えたり、何回連続ショウビットが出来るか競い合って遊んだ。

もちろんキンキンに冷えたコーラの飲み方も教えた(笑)

 

相変わらず言葉は通じないが、トリックが成功するとお互い讃え合った。

僕はこの時、共通のものがあればコミュニケーションが取れるということを学んだ。

 

そんなエディとの楽しい日々も終わりを迎えることになる。

エディがロサンゼルスに帰ることになった。

別れの日、僕はエディと固い握手を交わした。

 

「See you・・・」

 

エディとの別れの後、僕はスケボーを抱えたまま一人残された。

スタンド・バイ・ミーのような夏休みだった。

 

あぁ〜学校行きたくねぇ〜!!

 

 

夏休み明けクラスに馴染めなくなっていった

夏休み明けの学校に行くと、同じ中学出身の中田が前から歩いてきた。

 

「よぉ〜元気?」

 

中田は中学校の頃、どちらかと言うとスポーツもダメ、勉強もイマイチのジメられっ子だったが、夏休み空け様子が一変していた。

 

その姿はロンゲに褐色の肌と丘サーファー丸出しだった・・・

僕のいた高校では当時fineというファンション誌の影響で丘サーファーがたくさんいたんだが、中田はその中でも一二を争う程の丘サーファーに成長していた。

 

「大分姿がかわったなぁ〜」

 

「そっか〜」

 

「よ〜中田〜」

 

と後ろから学年でもイケてる軍団が中田を呼ぶ。

その中の一人が「中田って〜中学の頃バスケ部だったて聞いたけどどうだったの〜?」

と僕に聞いて来た。

 

???

中田がバスケ部?

中田の顔を見るとバツの悪そ〜うな顔をしている。

こいつ自分を良く見せる為に嘘をついたな・・・

 

「う〜んあまり覚えてないや。」

 

もちろん中田はバスケ部ではない。

何部だったかすらも知らん!

 

それ以来、中田はことあるごとに「アイツはいい奴だ。」とイケてる軍団に僕のことを褒めちぎってくれるようになる。

 

そんなどうでもいいやり取りをしていると馬鹿らしく思えてきて、あの楽しかったアルバイトやエディとの日々を思い出し、ため息ばかりつく毎日が続いていた。

 

そして僕はだんだんとクラスや学校に馴染めなくなっていった。

 

 

バイクを買って溜まり場でスケボー

学校はなんだかつまらんから、僕は自然と地元の仲間とつるむようになった。

例の動物園のような団地エリアが僕の地元だ。

この地元仲間の一人のヤスが夏休みに原付の免許を取ったのを皮切りに、バイクの中型免許を取ろうと言う話しになる。

金のない奴ある奴、みんな何とか10万円を工面して教習所に通い出した。

そしてみんなバイクを買う為にバイトを始める。

 

僕はファミレスでバイトを始めたがホモっぽい主任と喧嘩になり1週間で辞めることに・・・

 

続いて始めたのがヤスがやっていたラーメン屋のバイトだった。

ここが大当たりで先輩も社員さんも店長さんもいい人ばかり楽しい職場に巡り会えたのだ。

 

ただバイクを買う資金が一向に溜まらなかった・・・

その理由は服とパンクのCDを買いまくっていたからだ。

ヒロシとノリと週一回行く、渋谷、原宿買い物旅にハマっていた。

渋谷に行っては、ストーミーやアークティーズでスケートのTシャツを買ったり、タワーレコードに行ってはNOFXやface to faceなどのいわゆるメロコアバンドのCDを買っていたからだ。

 

 

・・・周りは次々にバイクを買って行く。

もうこれは強硬手段に出るしかない!

ノリのケツに乗せてもらい、バイク屋に行くと僕はお目当てのバイクを指差し「あのバイク、ローンで買えますか?」と店員さんに聞いた。

 

「買えるけど何回払い?」

 

「24回払いでお願いします!」

 

見積もりを作ってもらい保証人になってくれと親に交渉。

何とか了承を得られ頭金(端数)530円を払い見事400ccのKawasaki GPZ F2を手に入れる事ができた。

 

 

それからは僕らが溜まり場にしていた、ノリの実家の自動車整備工場には、いろんな奴がバイクで集まってきた。

小学校時代の友達や中学校時代の友達やら何故か皆バイクを持っていた。

 

もう時代的に暴走族は流行らなく、地元のチームは跡目がいないと必至で勧誘していたというのに、何故かちゃんと免許を取って族車ではなく普通にバイクに乗りたい奴はたくさんいたのだ。

 

そんな集まってきた連中の中に、小学校時代の友達、ノッチとクマがいた。

彼らはバイクの後部シートにスケボーを括り付けてやってきた。

その時、ノリもスケボーを初めていたので、僕を含め4人で溜まり場でスケボーをするようになる。

 

それからはバイクのカスタムをしたり、キャノンボールレースをしたり、スケボーをしたりで僕たちの溜まり場は地元でも目立つ存在になって行った・・・

 

 

カワチが暴走族に捕まった!スケボーを小脇に抱えて逃げる僕・・・

そんなこんなで毎日ワーワー遊んでいた僕らだが、ある日の夜、仲間のカワチが女子に告白するとかで、団地の横にある電話BOXに僕ら5人は付き合うことになる。

 

そしてカワチが電話BOXで電話を掛け始めると・・・

 

ブゥオ〜ン!ブゥオ〜ン!ブゥオ〜ン!

 

と何やらよからぬ音が近づいてくる・・・

 

パラリラ!パラリラ!

 

僕らの前に現れたのは地元の暴走族だった。

僕らはあっと言う間に3台の族車に取り囲まれた。

(今考えると3対5なんだよな・・・でもめっちゃ恐ろしかった)

 

「おう!おめーらなにやってんだ!」

 

「・・・」

 

この時カワチはまだ電話BOXの中にいます(笑)

 

すると一人のお方がカワチの入っている電話BOXに近づいて行った。

 

「おう!なにお前そんなとこにいんだよ!早く出てこい!」

 

カワチ無理矢理電話BOXから引きづり出される。

 

「おめ〜ら、そこの整備工場で溜まってる奴らだよな〜」

 

「・・・」

 

恐ろしさのあまり誰も返事しません。

 

「おめ〜ら、生意気だと思ってたんだよな〜」

 

「オレらはよ〜後の代を引き継いでくれる奴を探しててよ〜」

 

「ちょっと顔見せろや!」

 

そして一人づつ顔を確認して行く暴走族。

 

一通り確認し終えると・・・

 

「よし!コイツ以外全員帰ってよし!」と残されたのは

カワチだった〜(涙)

 

涙目のカワチ・・・

カワチは髪の毛が茶髪だったので僕らの中でも目立つ容姿をしていたので目を付けられたのかもしれない。

カワチが心配で僕らは暫くその場に留まっていると・・・

 

一人のお方が、リーダーらしき坊主のガッチリしたお方を指差し、

「この人はなぁ〜年少から出てきたばかりなんだぞ〜!早く行かね〜とどうなるかわかんね〜ぞ!」

 

と恐ろしい言葉を発せられ、それにビビった僕らはカワチを残して、その場を立ち去ったのだ。

「ごめん!カワチ!助けれなくてごめんよ!」と小脇にスケボーを抱え猛ダッシュ!

僕は内心スケボー取られなくて良かった〜と思っていた(笑)

 

それでもやっぱりカワチが心配です。

僕らはカワチの様子が見渡せる団地の5階に登って様子を見てました。

 

何やら小突かれてます・・・

カワチがよろめいてコケてます・・・

暫く何か話してます・・・

カワチと族のリーダーが握手してます・・・

族が立ち去っていきます・・・

 

カワチ大丈夫か!!!

急いでカワチの元に駆け寄ると

「おぉう!大丈夫だぁ!」

 

「上から見てたけどよく助かったな。」

 

「ヘッヘッ、色々話したら奴さんも分かってくれたみてぇでよ〜」

 

カワチは世渡り上手なところがあり、こんな場面で役に立つとは(笑)

まぁオレらみたいな、へっぽこに暴走族が務まるわけがなく、それをあっちも察したのだろう。

この後、カワチにとってこの暴走族に勧誘されたというエピソードは武勇伝となっている。

 

そしてすっかり忘れていたが、カワチの女子への告白はどうなったのか?

電話は掛けられたのか?

それとも掛けたけど暴走族が来た時点で電話を切ったのか?

今となっては全てが闇の中である。

 

続く・・・

Ready Skater Four「増殖しては分裂するスケートコミュニティ」【闇夜に暗躍する若者たち〜青年編『前編』〜】

 

 

【前回までの話し】

Ready Skater One【昭和ノスタルジー〜小学生編〜】

Ready Skater Two【平成よこんにちわ〜中学生編〜】

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